東京ビジネスデザインアワードを振り返って②

取締役社長 森下 晃一 

東京ビジネスデザインアワードの最終審査の当日は、審査用のブースの設営のために東京ミッドタウンの会場に午前10時半くらいに淡々と向かいました。東京ビジネスデザインアワードのようなイベントに参加するのは、初めての経験だったので、どんな感じで進んでいくのか、会場の様子、夕方にはどんな未来が待っているのかなど、全く想像が出来なかったので、特に緊張もなく、ごく普通の1日のように感じていました。

会場に到着し、受付を済ませて、展示会場に入り、ブースの設営をしていると、最終審査に残った11企業の審査用の展示ブース、最終審査会場での座席や音やカメラのテストを行っている場面を実際に見て、想像していた以上に大きなイベントに参加しているのだと感じました。最終審査では、デザイナーの歌代さんのプレゼンの後に応援メッセージをするという事になっており、大勢の人の前で話すということは、あまり得意ではないので、だんだんと緊張してくるのを感じました。

その後、展示ブースの設営も終わり、本番についてのご説明とプレゼンの順番のくじ引きが行われました。私たちの順番は、後ろから2番目と決まり、しばらく後になるので、少しほっとして、最終審査に臨みました。

■いざ、最終審査へ

最終審査では、まず審査員による試作物の展示確認が行われ、その後に各社デザイナーによる5分のプレゼン、企業から応援メッセージ、審査員からの質問・コメントという流れになっていました。
最終審査が始まり、他の参加企業様のプレゼンを拝見させて頂きました。本当にレベルの高い内容が多く、一つ一つが、将来、ビジネスとして実行されていく可能性を大いに感じるものでした。企業の技術とデザインの出会いというものは、本当に大きな可能性を産むのだなと改めて思いました

そして、途中に休憩をはさみ、いよいよ私たちの出番となりました。デザイナーの歌代さんの今回のコンセプト、商品、将来に向けてのプレゼンがスタートしました。市場、ターゲット、これから作ろうとしているもの、未来に向けてという流れで、今回の第一弾の商品『SAWARIGAMI』 についての紹介がされました。川口工場で実験を繰り返し、誕生した商品です。プレゼンは、非常にわかりやすく、実際に頭の中でイメージしやすいものでした。歌代さんも落ち着いて進めていたので、良いムードで進みました。

いよいよ自分の応援メッセージの時間となりました。

正直な話なのですが、いざ本番を迎えるとかなり緊張していたので、少し記憶が曖昧なのですが、このようなことを話したと思います。

「今回のプロジェクトに関わったメンバーが、みんな面白いと感じて、いろいろな提案を出してくれて、それを実行して形になっていったことが素晴らしい経験だと感じました。歌代さんも印刷の技術について、本当に興味を持ってくれて、私たちの印刷課のメンバーもそれに応えて、二人三脚で形になっていったこと、私たちの発想しなかったイメージ、デザインで、私たちの印刷加工を最大限に活かしたものが、作ることが出来たのは、本当に楽しい経験でした。
新晃社のメンバーは、みんな本当に印刷が好きなんだなと今回で感じました。 これからがスタートだと思うので頑張りたいと思います。」

そして、私たちの出番も終わり、後は審査結果を待つだけとなりました。この時は、受賞するという予想は全くしていなかったので、終わってほっとしたという気持ちが強かったのを覚えています。

最終審査結果、最優秀賞の受賞へ

すべての企業のプレゼンが終了し、別室での審査結果待ちの休憩をはさみ、いよいよの審査結果の発表の時間になりました。
最終審査では、テーマ賞を受賞した11社の中から優秀賞を2社と最優秀賞1社が選ばれます。

まずは最初に優秀賞の発表があり、プレゼンを聞いて素晴らしなと感じた2社が選ばれておりました。
残るは、最優秀賞のみとなり、受賞は難しいなと感じておりました。

そうして、発表された結果は、私たちが最優秀賞の受賞となりました。本当にびっくりしました。当日は、動画撮影もされており、席が離れていた歌代さんのびっくりした様子が、会場の大きなスクリーンに映っていました。

お互いに驚きを隠せないという感じでした。

そしてその後、受賞者のスピーチとなったのですが、本当に表彰されるとは予想をしていなかったので、本当にびっくりしていたので、頭が真っ白になっていました。そのため、あまり自分で話した内容を覚えていないので、プレスリリースに掲載された受賞コメントを引用させていただきます。


●最優秀賞
特殊印刷加工技術を応用したプロダクトと実験ブランド開発

クリエイティブディレクター/デザイナー 歌代 悟氏受賞コメント
試作の段階で20〜30種類のパターンを組み立てることになりましたが、この中の半分以上は取り組みの初期から一緒になってもの作りに取り組んできた現場のスタッフが自主的に作成し、提案してくれたものでした。現場主導の力が新晃社のもの作りの強さであり、良いもの作りの原点と感じた出来事でした。まずは「印刷加工実験室」プロジェクトの第一歩として、試作に取り組んできた折り紙「SAWARIGAMI」の実現に向けて進めていきたいと思います。

株式会社新晃社 取締役社長 森下晃一氏受賞コメント
今回東京ビジネスデザインアワードに参加してデザイナーとの出会いの機会をいただき、今まで自社だけでは考えつかなかった発想や新しい可能性を見つけることができました。また、デザイナーが自社の技術に真摯 (しんし)に向き合い取り組んでくれたことで現場の職員も発奮し、今まで以上に真摯にもの作りに取り組む創造的で良い時間が過ごせたと感じています。これからの展開がとても楽しみです。


このように書かれています。その後、興奮冷めやらぬ状態で帰路についたのを覚えております。自分にとって、忘れられない物凄く良い経験だったと思います。

私たちの印刷の技術がデザインとの出会いによって価値のあるものに変わっていくのは、楽しく、ワクワクする素晴らしい過程だったと今、思います。ものづくりに関わるということは、楽しいです。今回の東京ビジネスデザインアワードは、最終審査がゴールではなく、歌代さんの提案のビジネスの実現に向けて、これからがスタートと感じています。これから、みんなで知恵を絞って、力を合わせて、前進していこうと思っています。

引用:公益財団法人日本デザイン振興会
「2021年度東京ビジネスデザインアワード 最優秀賞・優秀賞を発表」プレスリリース

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