東京ビジネスデザインアワードを振り返って①

取締役社長 森下 晃一 

 私たち(株式会社新晃社)は、2021年度東京ビジネスデザインアワードにおいて、最優秀賞を受賞しました。東京ビジネスデザインアワードとは、どのようなものかというと、私たちのような都内のものづくりをする中小企業とデザイナーのマッチングを目指すコンペティションです。

東京ビジネスデザインアワードは、都内のものづくり中小企業の技術や素材に、デザイナーのアイデアや視点を掛け合わせ、新しいデザインやビジネスを生み出し、アワード後もそのビジネスの実現化を目指し、世の中に出していくことで企業の成長を手助けする取り組みになっています。

今回、私たちを含む都内のものづくりをする中小企業から応募・選出された12社のテーマに対して、150件を超えるデザイン提案があったそうです。その中でデザイナーの歌代さんのアイデアと私たちの技術の出会いによって、最優秀賞を受賞することが出来ました。

今回のような受賞は、初めてなので、素直に嬉しいと思っています。そして、未来に向けての活動の一歩となればと思っています。

■東京ビジネスデザインアワードへ参加のきっかけ

今回の始まりは、去年の5月のことでした。印刷技術のオンラインセミナーを受講したのがきっかけとなりました。その時に出会った方から、東京ビジネスデザインアワードについてのお話を聞き、かなり面白そうだと思い、6月の締切が迫る中、急いで応募書類を作成し、すぐに申し込みをしました。そしてなんとかテーマ審査を通過し、9月のテーマ発表に向けての資料作成が始まりました。

資料の作成では、私たちの得意とする技術を文章で分かりやすく表現することが難しく、思っていた以上に苦戦をしました。また、私たちにとっては当たり前のことが、実は価値のあることだということに気付かされる良い経験となりました。テーマ発表用のプレゼン撮影の時は、本格的な撮影設備の前での初めての経験で、結構プレッシャーを感じながら話をしました。またプレゼンだけでなく、弊社工場でのインタビューも良い思い出です。そして9月、テーマ発表の日を迎え、出来上がったプレゼン動画、インタビュー記事が公開され、デザイン提案応募を待つ日々が始まりました。

(実際のプレゼン動画や工場見学インタビューなどは下記のTBDAの公式ページよりご確認ください。)

デザイナー歌代さんとの出会い

テーマ発表後は、デザイナーの方々から提案がなかったらどうしようと不安なところもありましたが、プレゼンの動画の再生回数も増え、事務局より提案があったとの報告を受けたとき安堵したしたのを覚えています。
その後、事務局による提案1次審査を経て、提案2次審査の中で、デザイナーの歌代さんと出会いました。複数の提案の中から、歌代さんの提案が私たちの技術マッチしており、実現性の可能性を感じました。そうして歌代さんと打ち合わせを重ね、今回の製品の方向性も決まり、12月に実際の製品化のための実験に入りました。この段階は、苦労をしたというよりも、私にとっては、楽しい日々でした。昔、UV印刷機を導入したときに、いろいろな可能性を模索して、作品事例を作っていった頃のことを思い出すような印刷の楽しさを感じる時間でした。

■新たな技術への挑戦

実験では、幾つかの用紙を選んでの試し刷り、加工のやり方を何通りかテストをして、一番良いと思われる組み合わせを選びました。社内のメンバーもこの段階で、いろいろな提案をしてくれました。私では、思いつかない印刷加工方法を提案があり、実践しました。さすが、現場のプロだなと正直、関心していました。皆さんの印刷への愛が、素晴らしかったです。

何度か実験を繰り返し、遂に提案の製品が完成に至りました。仕上がったものは、私たちの発想を超えた表現となり、今までの私たちの加工技術が違ったように見えました。私たちの作成する社用サンプルなどは、コテコテな感じのデザインになる傾向があるのですが、今回は、相当シンプルなデザインとなりました。シンプルで加工の良さを最大限に活かせるデザインとなったと思います。良い感じで、デザインと技術がマッチングをした結果の製品だと感じています。

2月、最終的なデザイン形状も決まり、2021年度東京ビジネスデザインアワード最終審査の当日を迎えることになります。自分にとっては、思い出に残る忘れられない1日になります。

つづく

東京ビジネスデザインアワード公式HP
https://www.tokyo-design.ne.jp/archive/outline/2021/

前の記事へ 次の記事へ